債券は国や企業が発行する借用証書ですが、その発行形態や内容により様々な種類があります。今回は、この債券の種類を見ていきましょう。
◇ 普通社債
企業が発行する債券ですが、クーポンと呼ばれる利息が付いている「利付債」と利息はないけれど額面金額より安く発行される「割引債」があります。割引債は額面金額より安く発行されて、満期時に額面金額が戻って来るので、その差額が利息相当分ということになります。利付債の利息には20%の源泉分離課税(所得税15%・住民税5%)がかかりますが、割引債の場合は、発行価格と額面金額との差額に18%の源泉分離課税(所得税18%)がかかります。
◇ 新株予約権付社債 これには、「転換社債」と「ワラント債」があります。
あらかじめ決められた価格で、「この社債と引換えに、会社の株式を引き渡す」という約束がついている社債です。この時の「あらかじめ決められた価格」のことを「転換価格」といい、株式に換えることができる権利を「転換権」といいます。例えば、「転換価格1000円」という条件の付いた転換社債を額面金額で100万円持っていたとすると、その会社の株価がどんなに上がったとしても、1株1000円で買うことができるので、
100万円(額面金額)÷1000円(転換価格)=1000(株)
となり、1000株を手に入れることができます。
転換価格は、通常、転換社債の募集開始直前の株価をもとに、やや高めに設定されています。クーポンも付いていますが、「株式への転換権」というおまけがついているので、一般の社債よりは低い水準になっています。
転換社債は途中でも売却できますが、この時の社債としての価格は株価と連動して動きます。何故なら、株価が上がれば、株価より安い転換価格で株式を買うことができる権利の付いた債券の価値も上がるからです。株価が下がれば、もちろん価値は下がりますが、債券として持っていれば満期には額面金額が戻ってくる商品なので、一定水準よりは下がりません。ということなので、転換社債の運用方法は、
- 株価が上がった場合 ⇒ 株式に転換してもいいし、転換社債として
売却してもいい。
- 株価が下がった場合 ⇒ 債券として保有し、利息を受け取り、
満期に額面金額を受け取る。
株価が上がった場合に、株式に転換するのか、転換社債として売却するのかの判断は、転換社債の市場価格を見て決めることになります。
ワラント債も株式を買うことができる権利のついた債券ですが、社債の部分と株式を買う権利のあるワラント部分が別々に売買できる商品です。社債部分については普通社債と同じで、利息が受け取れ、満期には額面金額が戻ってきます。一方、ワラント部分の権利のことを「ワラント」といい、この権利を実行することを「行使」といいます。又、実行しないことを「放棄」といいます。ワラント(権利)を持っていると、その会社の株式を行使期間内の好きな時にあらかじめ決められた価格で買い付けることができます。このあらかじめ定められた価格のことを「行使価格」といい、これが転換社債の転換価格に相当します。ワラント部分は株価に連動して動きますが、変動幅は株価以上に大きくなるので、かなりハイリスク・ハイリターンの商品といえます。
転換社債もワラント債も新株予約権付社債として同じ分類になっていますが、金融商品としての性格やリスクの度合いはかなり違ったものになります。転換社債は転換する際に新たな資金を必要としませんが、転換後は社債は手元に残りません。株価が下がっても社債として持っていればいいのでリスクは限定されています。ワラント債は、権利を行使して株式を入手する際は新たな資金を必要とします。ただし、株式を入手後も社債は手元に残ります。ワラント部分は株価の動きによってかなり変動しますのでリスクが大きく、実際に購入するばあいには、金利の動向や発行企業の信用力などについて十分注意することが必要です。
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